私たちはお誕生日や記念日、
昇進、退職、母の日など、
日常の様々なシーンで
お花を贈り合いますが、
それはいつ頃始まったと思われますか?
戦後?明治大正時代?
もしかして江戸時代には?
いえいえ、
実はなんと、
今から1200年近く前、
平安時代中期には
和歌に季節の花を添えて贈る、
また花そのものを贈る、
【折り枝】という贈り花の文化が
存在したのです。
例えば源氏物語には
様々な折り枝のシーンが
描かれています。
いと気色ある深山気に
宿りたる蔦の色ぞ
まだ残りたる。
こだになど、
少し引き取らせたまひて、
宮へとおぼしくてもたせたまふ。
こだにとは、つたの一種だそうです。
宮中へつたの枝を届けた様子が
記されています。
そういえばうちの
こどもたちが小さいころ
よく野に咲いているお花を摘んでは
私に「はい、あげる!」と、
手渡してくれました。
誰に習ったわけでもなく
自然と行うその行為に
嬉しくもあり
不思議にも感じました。
人は自然と、
きれいな草花を目にしたら
誰かに贈りたくなるのかもしれません。
現代の花を贈る文化が、
1200年前から存在していたと
遥か昔に思いを馳せると
現代のフラワーギフトが
一層ロマンティックなものに
感じられませんか?
皆さまもお花を、
平安貴族のように、
幼子のように、
野にある一輪からでも、
贈ってみてくださいね。
それは人本来の
自然で素敵な行いなのだと
思います。
引用文献
2001 すずき・ひろこ 駒沢短期大学 折り枝という情報【源氏物語の贈答場面から】
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